自分の平穏を守る、共同養育の境界線
共同養育の境界線は、壁ではありません。門のついた柵です。自分の責任がどこで終わり、相手の責任がどこから始まるのか、どんな連絡が適切なのか、決めごとをどう決めるのかを、はっきりさせます。それがないと、共同養育は、どのやり取りも争いになりかねない、すり減る混戦になります。
よい境界線は、最初はかたく感じられます。時間がたつと、すべてを楽にしてくれる骨組みになります。
連絡の境界線
いつ連絡するか
急ぎでない連絡の時間帯を決めてください。
- 段取りの連絡:いつでも。24 時間以内に返す前提で
- 話し合いの案件:合意した時間帯に(たとえば 8:00 より前や 21:00 より後は避ける)
- 緊急:いつでも、電話で
どう連絡するか
- 緊急以外はすべて書面で(メッセージ、メール、共同養育アプリ)
- 1 通に 1 つの話題(5 つの案件を長い 1 通に詰め込まない)
- 段取りの案件は 24 時間以内、話し合いの案件は 48〜72 時間以内に返す
- 緊急でないことに留守番電話を使わない(記録に残せず、あとから参照しにくいからです)
何を連絡するか
- 子どもに関わる段取り(予定の変更、行事、通院)
- 医療と学校の情報
- 安全にかかわる懸念
- 費用の記録
何を連絡しないか
- 過去の関係のこと
- 相手の暮らし方、交際相手、選択についての意見
- 子育てへの批判(本当に安全にかかわる懸念がある場合を除く)
- 遠回しな当てこすり
- 自分の私生活の中身
Homsy のような共有の仕組みを使うと、予定と作業が自動で両方の親に見えるようになるので、直接やり取りする必要が減ります。
決めごとの境界線
どの決めごとに両方の親が要り、どれを片方だけで決められるかを、あらかじめ決めてください。
たいてい両方の親が要るもの
- 転校
- 大きな医療の判断(緊急でない手術、薬の変更)
- 別の地域への引っ越し
- 海外への渡航
- 宗教的な育て方についての判断
たいてい片方の親が決めるもの
- 自分の家の中の日々の過ごし方
- 食事と就寝時刻(常識の範囲で)
- 服装と髪型
- 自分と過ごす時間に、誰が子どもを見るか
- 自分と過ごす時間の習いごと
あいまいなところ
両方の家にまたがる活動(両方の親の時間に練習があるスポーツなど)は、二人で話す必要があります。意見が合わないときの決め方を、あらかじめ用意しておいてください。「合意できないときは、調停人に相談する」といった形です。
家の中の境界線
自分の家、自分の決まり
常識の範囲で、それぞれの親が自分の家を独立して回します。母親の家では就寝が 20:00 で、父親の家では 20:30 でも、それでかまいません。子どもは違う家の決まりに慣れます。学校でも、友だちの家でも、祖父母の家でも、もうそうしています。
譲れない一貫性
両方の家でそろえておくべきものもあります。
- 薬の時間
- アレルギーへの対応
- 画面を見る時間の上限(少なくとも大まかに)
- 宿題についての決まり
- 安全にかかわる決まり
子どもの前で触れてはいけないこと
両方の親が、次のことは決してしないと合意しておくべきです。
- 子どもの前でもう一方の親を批判する
- 子どもに家と家のあいだの伝言を頼む
- もう一方の親の私生活について子どもに聞く
- 子どもにどちらかを選ばせる
- 子どもの前でお金の争いをする
新しい交際相手についての境界線
共同養育の境界線の中でも、いちばん気持ちが動くところの 1 つです。先回りした取り決めが、あとからの争いを防ぎます。
- 新しい相手を、いつ子どもに会わせるか。 多くの心理の専門家は、関係が始まって 6〜12 か月待つことを勧めています。
- 新しい相手はどんな役目を持つのか。 親の代わりではありません。しつけ、権限、呼び方について、はっきりした線を引いてください。
- 新しい相手についての連絡。 子どもに会わせる前に、それぞれの親がもう一方に知らせます。
境界線を守らせる
境界線を決めるのは簡単なほうです。守らせるところが難しくなります。
一貫させる。 「段取りの電話は受けません」と言ったなら、段取りの電話に出ないでください。こう向け直します。「あとで見返せるように、これはメッセージで送ってください」。
JADE をしない。 境界線について、正当化(Justify)も、口論(Argue)も、弁明(Defend)も、説明(Explain)もしないということです。「21:00 以降は電話に出られません」で完結しています。理由を差し出す義理はありません。
破られたら記録する。 境界線が越えられたら、書き留めてください。繰り返しの形が見えてきたら、調停人や弁護士を通して扱えます。
落ち着いていること。 境界線を越えるふるまいは、試しです。感情で返せば、越えるふるまいを強めます。落ち着いて返せば、境界線のほうを強めます。
境界線が破られたとき
1 回目:境界線を、書面で、はっきりと、穏やかに言い直します。
繰り返しの形:記録して、調停人、共同養育のカウンセラー、または弁護士に入ってもらいます。
安全にかかわる違反:すぐに動いてください。弁護士に連絡し、急を要するなら警察に連絡します。
ずっと難しい状態が続く共同養育には、並行養育が、境界線をもっと形の整った取り決めにしてくれます。
よくある質問
健全な共同養育の境界線とは、どんなものですか
連絡の手段と時間帯についてのはっきりした取り決め、案件ごとの決定権の分け方、それぞれの親が独立して回す家の決まり、そして新しい交際相手についての手順です。境界線は具体的で、書面になっていて、一貫して守られているべきです。
難しい相手と、どう境界線を引きますか
境界線を書面ではっきり示してください。正当化も、口論も、弁明も、説明もしないでください。破られたら向け直すことで、一貫して守らせます(「電話ではなく、これはメッセージで送ってください」)。破られた形を記録してください。しつこく続くなら、調停人に入ってもらいます。
共同養育では、両方の家で同じ決まりにすべきですか
中心の決まり(薬、安全、宿題についての決まり)はそろえるべきです。日々の過ごし方(就寝時刻、食事、画面を見る時間)は、常識の範囲で違っていてかまいません。子どもは順応できますし、大事でない決まりについては「お父さんの家では◯◯、お母さんの家では△△」を扱えます。
新しい交際相手は、いつ子どもに会わせるべきですか
多くの家族療法の専門家は、関係が安定して真剣になるまで待つことを勧めています。たいていは 6〜12 か月です。会わせる前に、両方の親が知らされているべきです。新しい相手が子どもの暮らしの中でどんな役目を持つのかについても、話し合ってください。